「FIRE達成しました!さようなら会社!」と意気揚々と会社を去って早1年。予想外の展開ですが、ぼくは再び「働く人」になりました。
でも今度は違います。フルリモートという働き方と、FIRE資産という後ろ盾を持った「サイドFIRE」の生活に移行したんです。

サイドFIREって、完全リタイアじゃなくて、資産があるからこそできる自分に合った働き方を選ぶってことだね。働くことの意味が変わるんだ
サイドFIREへの移行:なぜ労働市場に戻ってきたのか
FIRE生活1年目での気づき
FIRE達成後の1年間、ぼくは何をしていたかというと、基本的には「好きなこと」をしていました。読書し、温泉に行き、たまに国内旅行・海外旅行に出かける。
一見理想的な生活のはずでした。でも次第に気づいたのは、一人きりで「好きなこと」だけをする生活は思いのほか充実感はなく、楽しくなかった、ということ。
そして「社会との接点」や「成長感」が意外と大事だということでした。

結局ヒマを持て余したってことだろ?金があっても暇人はただの暇人だなw

そうじゃないよ。人間は何かに取り組んだり、誰かの役に立ったりすることで喜びを感じる生き物なんだよ。お金だけじゃ満たされない部分があるんだと思う
日々の生活にメリハリがなくなり、「今日は何をしよう」という自由が、時に「今日は何をすべきか」という不安に変わることも。完全な自由は、意外と重荷になることがあるんですね。
「完全FIRE」から「サイドFIRE」への考え方の変化
ぼくがFIREを目指したのは、「嫌な仕事から解放されるため」でした。でも実は大事なのは「嫌な仕事をしない」ことであって、「仕事をしない」ことではなかったんです。
要は、「経済的自由」は「何もしない自由」ではなく、「自分に合ったことをする自由」だったということ。
そして「働く」ということ自体が、適切な条件下では生きがいにもなり得ると気づいたんです。

ちょっと待って!結局また働き始めるなら、なんでそんなに必死にFIREを目指したの?矛盾してない?
確かにそう思うかもしれません。でもFIRE資産があるからこそ、「この仕事が嫌になったらすぐ辞められる」という安心感を持って働けるのです。
それに給与が生活を支える必要がないので、「本当にやりたい仕事」や「最適な労働量」を選ぶ自由があります。
理想的な仕事との出会い方
FIRE生活の中で、今後の人生は「やったことのないことをやろう」と思っていました。
そこで思いついたのが「転職活動」。ぼくは新卒入社した会社で19年間勤めたので、転職したことはなかったんです。
「まぁ40歳を超えていて、もはや転職市場では厳しいだろうな」とタカをくくっていましたが、試しに転職エージェントに登録してみることに。

えっ!?FIRE達成したのに転職活動って、矛盾してない?働く気満々じゃん!
ぼくの中では「経験したことがない何か」としての転職活動でした。
驚いたことに、40代前半のぼくに50以上ものオファーがありました。フルリモート勤務可の企業や、外資系コンサルからのオファーもあって、正直驚きました。

労働市場って、自分が思っているより流動的で多様なんだね。特にITやプロマネのスキルを持っていると、年齢よりも経験や専門性が評価されることが多いんだろう
鈴木祐さんの『科学的な適職』を読みながら、自分にとっての理想的な働き方を考えていたとき、ある大手メーカーからの正社員・フルリモート勤務・裁量労働で先進技術開発ができるポジションのオファーを見つけました。
「これだ!」と直感的に思い、応募。2回のリモート面接を経て、内定をもらうことができました。

よりによって大手メーカーかよ。結局、ステータスに弱いだけだったりしてw

そうじゃないよ。働き方や仕事の内容、自分の興味と合致してるかが大事。会社の規模や名前じゃなくて、自分がどう働きたいかが選択の基準になったんだよね
皮肉なのは、「働かなくてもいい」という立場だからこそ、自分に正直な選択ができたということ。経済的な切迫感がない状態で、純粋に「やりたいこと」で選べたのは、FIRE資産という後ろ盾があったからこそでした。
サイドFIREがもたらした変化
経済的安定感と心理的安心感の向上
完全FIRE生活では、資産から引き出すお金だけが収入源でした。4%ルールに従って計算していましたが、「資産が6000万円を下回ったら働こう」と密かに決めていました。幸いそこまでの相場下落には遭遇しませんでしたが、毎朝資産チェックをする習慣がついてしまい、精神的には良くなかったんです。

毎朝資産チェックとか、完全に病気じゃんw お金の奴隷から解放されたはずが、逆に資産額の奴隷になってるってオチ?

行動経済学では『損失回避バイアス』といって、人は得るよりも失うことに強く反応する傾向があるんだ。FIREしても、資産が減ると不安になるのは自然な心理かもしれないね
サイドFIREに移行してからは、生活費のすべてを仕事からの収入でカバーしつつ、さらに毎月10万円以上を投資できるようになりました。
結果、FIRE資産からの引き出しをほぼゼロにするだけでなくさらに増やせる状態にでき、心理的な安心感が格段に増しました。
資産チェックの頻度も減り、相場に一喜一憂することなく過ごせるようになったのは、大きな変化です。インフレ率以上のペースで資産が成長する可能性も高まり、将来への不安が減ることで、生活の質そのものが向上したように感じます。
社会との繋がりとアイデンティティの再構築
完全FIRE生活での予想外の発見は、「自分は何者か」というアイデンティティの問題でした。「会社員」という肩書きを失い、社会との接点が減ることで、意外と自己定義に悩むことになったんです。
フルリモートワークを始めてからは、再び「プロフェッショナル」としての自分を持つことができ、しかも以前より自分らしい形で。社会的な承認感覚も戻り、「ぼくはこの分野のスペシャリストだ」という自信を再び持てるようになりました。

人間は社会的な生き物だもんね。完全に独立することより、自分らしく社会とつながることの方が大切なのかもしれない
時間の使い方と生産性の変化
完全自由な時間は、意外と使いこなすのが難しいものです。フルリモート勤務によって、逆に残りの自由時間の価値が上がりました。
有限だからこそ大切に使うようになり、読書や勉強、ブログ執筆などにも以前より意欲的に取り組めるようになったんです。仕事のデッドラインが適度な緊張感を生み、全体的な生産性が向上したように感じます。

じゃあ結局、適度な忙しさが必要だったってことじゃん!FIRE目指して必死だった時が一番充実してたりして?
そうかもしれません。人間は適度な挑戦と緊張感がある状態で最も生き生きするのかもしれませんね。
ゲイとしてのサイドFIREの意義
マイノリティならではの働き方選択の自由
ゲイであることと働き方の関係は、意外と深いつながりがあります。異性愛者の多数派社会では、結婚・出産・子育てなどのライフイベントを前提とした働き方モデルが「標準」とされていますが、ぼくたちはそのレールから外れることが多い。
だからこそ、「自分に合った働き方」を能動的に選び、創造する必要があるんです。サイドFIREは、そんなぼくたちにとって理想的な選択肢の一つだと思います。

社会的なマイノリティだからこそ、経済的な自由度を高めておくことが、本当の意味での自己決定につながるということだね
これからのマネー・時間・人生設計
サイドFIREという働き方は、ぼくにとっては「お金・時間・生きがい」の最適なバランスを見つけた状態です。資産は着実に増え、時間的自由度は高く、社会との繋がりも維持できる。
特にゲイとして、従来の「結婚して子どもを育てる」というライフプランとは違う道を模索するとき、経済的自由と時間的自由を両立できるサイドFIREは非常に魅力的な選択肢だと感じています。

でも結局、子どもを育てないなら、そんなに資産いらないんじゃない?FIREする必要あった?
確かにその視点もありますが、子どもがいない分、将来の不確実性(老後の孤独や介護の問題など)に対しても、自分自身で備える必要があります。それに、選択の自由があるということ自体が、ぼくたちにとっては大きな価値なんです。
結局のところ、「FIRE」は目的ではなく手段だったのかもしれません。お金や時間の自由を手に入れることで、自分らしい生き方を探求するための土台を作る。そして見つけたのは、完全な「働かない自由」ではなく、「自分に合った働き方を選ぶ自由」だったんです。
サイドFIREという形で見つけた新しいバランスは、ぼくにとって今のところ理想的です。もちろん、将来また変わるかもしれません。でもFIRE資産という安全網があるからこそ、その変化にも柔軟に対応できる。
それが本当の意味での「自由」なのかもしれません。
現場からは以上です。
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