FIREは”逃げ”なのか?—最初から自由な人には見えない景色

幸福論

FIREして何が楽しいの?

成功した起業家や経営者から、こういう声を聞くことがあります。仕事が楽しいのに、なんでわざわざ辞めるの? 引退してテレビ見てぼーっと過ごすのがそんなに幸せ? みたいな。

あと、資産家の家に生まれた人からも似たような声が聞こえてきます。「俺たちは最初からその状態だし、親の資産もあるし、FIREなんて別に目指すものじゃなくない?」と。

今日は、こういう批判に対して一度ゼロベースで考えてみたいんですよね。

FIREって本当に価値があるのか。目指すべきものなのか。

「仕事が楽しいのに引退して何が楽しいの?」という批判

まず、成功した起業家や経営者からの批判について。

彼らにとって仕事って「やらされるもの」じゃないんですよね。自分で事業を作って、自分でチームを動かして、自分の意思で世の中に価値を提供している。そりゃ楽しいでしょ。だから「なんで辞めるの?」という疑問が素直に出てくる。

でもね、ここに大きな前提があるんですよ。「仕事が楽しい」という前提。

賢い少年
賢い少年

これは『生存者バイアス』だね。仕事が楽しくて成功した人だけがメディアで発言できる。楽しくない仕事で消耗してる大多数の声は届きにくいんだよ。

そうなんです。テレビやSNSで発言してる人たちって、基本的に「うまくいった人」なんですよね。うまくいったから発言力がある。うまくいったから「仕事は楽しい」と言える。

でも、世の中の大半の人は違う。与えられた仕事をこなして、上司の機嫌を取って、なんとか生活費を稼いでいる。「仕事が楽しい」なんて言える立場にいない人のほうが、圧倒的に多いんですよ。

「俺たちは最初からその状態だし」という視点

もう一つの批判。資産家の家に生まれた人たちからの声。

「FIREって、経済的自由を目指すってことでしょ? 俺たちは最初からそこにいるんだけど。別に目指すものじゃなくない?」

これ、言ってることは正しいんですよ。彼らにとって経済的自由はデフォルト。空気みたいなもの。わざわざ「目指す」という発想自体がピンとこない。

ツッコミ少年
ツッコミ少年

でもさ、それって結局ポジショントークじゃん! 自分が持ってるものの価値がわからないだけでしょ?

まさにそれ。

あのね、生まれながらに経済的自由がある人は「経済的に縛られている」という感覚そのものを知らないんですよ。だから、そこから解放されることの価値もわからない。

お金の心配をしたことがない人に「お金の心配から解放される喜び」を説明しても、たぶん伝わらない。それは彼らが悪いわけじゃなく、単純に経験したことがないから。

99%の一般労働者が見ている景色

じゃあ、ぼくたち一般人はどういう景色を見ているのか。

学校を出て、就職活動をして、なんとか内定をもらって、毎日満員電車に揺られて、オフィスに通って、上司や同僚との人間関係に気を遣って、ストレスとプレッシャーの中で働いている。とくにぼくとかは就職氷河期世代。希望どおりの仕事ができなくて非正規社員で苦労している同年代を横目に見てきた。

「やりたいこと」じゃないんですよ。「やらなければならないこと」で人生が埋まっていく感覚。

優しい少年
優しい少年

好きなことを仕事にできてる人って、本当に一握りなんだよね。ほとんどの人は生活のために働いてるんだと思う。

そう。生活のため、家族のため、将来のため。それ自体は立派なことなんだけど、でも「自分のやりたいこと」ではない

敷かれたレールの上を走り続けている感覚。降りたくても降りられない。だって降りたら生活できないから。

この景色は、成功した起業家には見えない。資産家の息子にも見えない。でも99%の一般労働者には、毎日見えている景色なんですよ。

FIREとは「REstart」である

ここで、FIREの定義を見直したいんですよね。

一般的にFIREは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立、早期退職)」の略だとされています。でも、作家の寺澤伸洋さんは別の解釈を提唱しています。

FIRE = Financial Independence, REstart your life

経済的自立と、第二の人生のスタート。「Retire(引退)」じゃなくて「REstart(再起動)」なんですよ。

これ、めちゃくちゃしっくりきたんですよね。

FIREって「引退」じゃないんですよ。人生をやり直す機会なんです。敷かれたレールから一度降りて、自分でルートを選び直すこと。「与えられたこと」ではなく「自分の内面からやりたいこと」を探すスタートライン。

いじわるな少年
いじわるな少年

まあ、実際FIREしても”何もやりたいことがない”ってなる奴もいるけどなw でもそれは自分の問題であって、FIREの価値がないわけじゃないぜw

厳しいけど、その通り。FIREしたからって自動的に幸せになるわけじゃない。でも少なくとも「選択肢」は手に入る。

実際、ぼくはサイドFIREしてからぼーっとテレビを見て過ごしてるわけじゃないんですよ。ブログを書いたり、本を読んだり、旅行に行ったり、好きなことを仕事にしたり。「やらなければならないこと」じゃなくて「やりたいこと」で人生が埋まっていく感覚。これがREstart。

幸福にはコントラストが必要である

で、ここからが本題なんですけど。

なんで成功した起業家や資産家の息子にはFIREの価値がわからないのか。それは幸福にはコントラストが必要だからなんですよ。

対比の力って、すごいんです。不自由を経験したからこそ、自由の価値がわかる。渇きを知っているからこそ、水の美味しさがわかる

最初から自由な人にとって、自由は「平凡」なんですよね。空気みたいに当たり前。特別なことじゃない。

でも、不自由を知る者にとって、自由は「特別」なんですよ。手に入れたときの喜びがある。毎日「ありがたいな」と思える。

逆もまた然りで。特別なものも、最初から持っていれば平凡に感じてしまう。これが対比の力。

賢い少年
賢い少年

幸福の研究でも”慣れ”の問題は指摘されてるよね。宝くじに当たった人の幸福度は1年後には元に戻るって話。最初から持ってる人は、そのありがたみを感じにくいんだ。

だからね、成功した起業家がFIREの価値を理解できないのは、ある意味で当然なんですよ。彼らは「好きな仕事をする自由」を最初から持っている。資産家の息子が経済的自由の価値を理解できないのも当然。最初からそこにいるから。

彼らが悪いわけじゃない。ただ、コントラストがないだけ。

FIREは一般労働者のための「リスタートボタン」

結論としてね。

FIREは万人向けじゃないんですよ。成功した起業家には不要かもしれない。資産家の息子にも不要かもしれない。

でも、99%の一般労働者にとっては、人生をREstart(再起動)するためのボタンなんです。

毎日満員電車に乗って、やりたくもない仕事をして、ストレスで消耗している人たち。そういう人たちにとって、FIREは「夢」じゃなくて「必要な選択肢」なんですよ。

批判する人たちは、自分がすでに自由を持っていることに気づいていない。気づいていないから「何が楽しいの?」と言える。それはそれでいいんです。でも、その声に惑わされる必要はない。

優しい少年
優しい少年

自分にとって何が必要かは、自分にしかわからないよね。他人の意見は参考程度にして、自分の人生は自分で決めていいんだと思う。

コントラストがあるからこそ、FIREには価値がある。不自由を知っているからこそ、自由のありがたみがわかる。

ぼくは不自由な時期を経験したから、今の自由を心から楽しめている。毎朝、自分で選んだ一日を始められることに、本当に感謝している。

これは、最初から自由な人には絶対に見えない景色なんですよね。


FIREは逃げじゃない。人生のREstart。

敷かれたレールから降りて、自分でルートを選び直す。それがFIREの本質だと、ぼくは思っています。

現場からは以上です。

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