FIREに走る前に、AIで仕事をしてみたか? ── 「労働=消耗」という旧労働観はもう古い

幸福論

「FIREしたゲイ」を名乗っておきながら、ぼくは今、フルタイム雇用で働いています。ただし、フルリモート x 裁量労働制という労働条件の基です。

FIREは2023年に達成済み。2026年1月には資産1億円に到達して、いわゆる億り人にもなった。それでも会社員を辞めず、むしろ「楽しい」と思いながら毎日仕事をしている。

なぜか。理由はひとつで、AIで仕事の中身が根本的に変わったからです。

今日は少し、FIREを目指している人にちょっと立ち止まってほしい話をします。あなたが急いで自由になろうとしている、その「逃げたい仕事」は、ほんとうにそんなに大変ですか? もしかしたら、仕事の方が先に変わっているかもしれません。

FIREブームの根っこにある「旧労働観」

FIREを目指す人の動機を突き詰めていくと、たいていひとつに収束します。

「仕事は大変・つらい・消耗する、だから早く自由になりたい」

これ、すごく自然な動機ですよね。ぼく自身、20年勤めた会社を2023年に辞めたとき、ほとんど同じ気持ちでした。満員電車、長時間労働、無意味な会議、理不尽な上司、終わらないメール ── 「労働=苦役」というイメージは、戦後の高度経済成長期から日本人の身体に刷り込まれてきた、ある種の文化遺産みたいなものです。

でね、ここで少し冷静になってほしいんですよ。

FIREという戦略は、「労働観が将来も変わらない」という前提で組み立てられています。今の仕事の苦痛が10年後も20年後も同じだとすると、早く脱出した方が合理的、という計算。だから「資産形成のリターン > 残り労働年数 × 苦痛」という不等式を成立させる方向に頭が動く。

でも、もしこの不等式の左辺と右辺が、AIによって書き換えられたとしたら?

賢い少年
賢い少年

FIREって『現在の労働の苦痛 × 残り労働年数 > 資産形成のリターン』っていう不等式から生まれた発想なんだよね。左辺の”苦痛”が小さくなったら、不等式自体が成立しなくなるよ。

そう、計算の前提が変わったら、答えも変わるんです。FIREという戦略の合理性は、「労働観が一定」という暗黙の前提に依存している。そしてその前提は、2024年以降、急速に揺らぎ始めている。

AIが破壊した前提 ── 「仕事は大変」が、もう成立しない

2024年から2026年にかけて、AIによる仕事の難易度は劇的に下がりました。

ぼくの仕事の中身で言うと、コーディングだけでなく文章作成、調査、要約、データ整理、ドキュメント整理、プロジェクト管理、多くの仕事はClaude Codeで数十倍速くなった。このあたりは全部AIに任せている。残るのは「意思決定」と「対人折衝(ミーティングなど)」だけです。

実労働時間は、1日30分〜2時間くらい。それでも成果は出ているし、社内評価も悪くない。むしろAI導入前より生産性は上がっていると思います。

要は、「仕事は大変だ」と言っていた頃の作業の9割は、AIに肩代わりさせられるようになった。残った1割は、人間がやって楽しい部分 ── 考えること、決めること、人と話すこと。これは消耗じゃなくて、知的な遊びに近い。

ツッコミ少年
ツッコミ少年

でもAI使えない仕事もあるじゃん!工場とか、現場とか、対人サービスとか!全員がプログラマーじゃないでしょ?

これは正しい指摘で、ぼくが話しているのはあくまで知的労働の話です。製造業の現場、医療・介護、対人サービス、肉体労働 ── このあたりはAIの効果が違う形で出てくる領域なので、別の議論が必要。

ただ、FIREを目指している層の多くはオフィスワーカー・知的労働者なんですよね。だとすれば、「自分の仕事はAIでどこまで楽になるか」を試さずにFIREの計算をするのは、ちょっと早計じゃないかと思っています。

ぼくがサイドFIRE達成後にフルタイムに戻った理由

ぼくの履歴を簡単に振り返ると、こんな感じです。

2023年、約20年勤めた会社を辞める。1年ほど世捨て人のように国内外を旅して過ごす。2024年、フルリモートでフルタイム雇用に転職し、札幌に移住。2026年1月、資産1億円達成。

「億り人になったのに、なんでフルタイムで働いてるの?」と聞かれることが増えました。答えはシンプルで、AIで仕事が楽しくなったからです。

かつての「苦役としての労働」は、ぼくの仕事からは消えました。今あるのは、AIと一緒に問題を解く知的ゲームみたいなもの。Claude Codeに「これをこういう設計で作って」と指示を出して、出てきたものをレビューして、設計の方向を修正する。これは消耗じゃなくて、純粋に面白い作業です。

正直に言うと、ぼくは別に「働くのが嫌い」だったわけじゃなかったんですよね。旧労働観の中の労働が嫌いだっただけ。満員電車、形式的な会議、誰も読まないドキュメント作成、上司への説明資料 ── そういう「人間がやらなくていい部分」が嫌いだった。

AIがその「やらなくていい部分」を引き受けてくれた今、残った仕事は普通に楽しい。だから辞める理由がない。

優しい少年
優しい少年

『働きたくない』って気持ちの正体って、本当は『あの働き方をしたくない』だったんじゃないかな。働き方が変われば、気持ちも変わる。みんなそれぞれのペースで、自分に合う形を見つけられるといいよね。

そうなんですよ。ぼくの「働きたくなかった気持ち」は、AI時代の働き方に出会ったことで、わりと自然に消えました。FIRE達成は人生の選択肢を広げてくれましたが、「働かない自由」を選ばなくてもよかった、というのが正直なところです。

労働観のアップデートが、人生戦略を変える

ここで言いたいのは、「FIREを目指すな」ということではありません。

ぼく自身、サイドFIREしたことで人生の自由度は飛躍的に上がった。資産があるから「いつでも辞められる」という安心感の上で働けている。これは大きい。

ただ、戦略の選択肢が増えたという話はしておきたい。

  • 旧戦略:早くFIREして仕事から逃げる
  • 新戦略:AIレバレッジ勤務で、仕事を楽しみながら資産形成する

どちらが絶対的に正しいわけじゃありません。でも、前提が変わったのなら、選択肢を再計算する価値はある。「仕事つらいから早くFIRE」という思考停止のまま走るのは、もったいないんじゃないかと思います。

特に20代・30代の若い人。今からキャリアを始めるなら、急いでFIREを目指す前に、AIで仕事をハックする能力を本気で磨いた方がリターンが大きい可能性があります。AIをまともに使いこなせる人は、フルタイム雇用のままでも実質サイドFIRE以上の自由を手に入れられる時代になっているので。

いじわるな少年
いじわるな少年

『仕事つらいから早くFIREしたい』って言ってる人、AIまともに触ってないだろw 触ってから言えって話だよなw 苦行を続ける理由を自分で作ってどうすんだよw 楽になる選択肢が目の前にあるのにw

辛辣だけど、これも一面では本当のことだと思います。今の労働観の苦痛のうち、どこまでがAIで解消できるか、ちゃんと試してから「FIREしないと無理」って判断してほしい。試さずに走り出すと、せっかくのAI時代の恩恵を取りこぼすことになる。


FIREは、古い労働観の中で生まれた合理的な解だった。それは本当のことです。

でも、AIが「労働=消耗」という前提そのものを書き換え始めた今、ぼくたちは戦略を一度立て直していいタイミングに来ています。FIREに急ぐ前に、まずAIを使い倒して仕事をしてみてほしい。世界の見え方が変わるかもしれません。

ぼくはサイドFIRE済みで、それでもフルタイム雇用を選んでいる。理由は単純で、今の仕事が楽しいから、そして、AIと一緒に働くこと自体が面白いから。これ以上の理由はいりません。

現場からは以上です。

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