20代男性の29.1%が、50歳以下でリタイアしたいと思っている。
パーソル総合研究所が毎年1万人を対象に行っている「働く10,000人の就業・成長定点調査」の数字だ。2017年には13.7%だったこの数字が、2024年には29.1%。わずか7年で倍増した。
ぼくがこのデータを見て最初に思ったのは、「そりゃそうだろ」ということだった。
だって、ぼくも辞めた側の人間だから。20年勤めた大企業を辞めて、サイドFIREして、今は札幌で好きなことだけやって暮らしている。この3割の気持ちは、痛いほどわかる。
でもね、データをもう少し深く見ていくと、「辞めたい」の中身が変わってきていることに気づくんですよね。
データが示す「静かな変化」
まず、数字を並べてみる。
20代男性の「50歳以下でリタイア」希望は、13.7%から29.1%へ。30代男性の「55歳以下でリタイア」希望も、14.3%から28.1%へ。20代の平均リタイア希望年齢は63.8歳から57歳に下がった。6.8歳も早まっている。
同じ調査で、「はたらくことを通じて幸せを感じている」人はわずか33.8%。3人に1人しか、働いて幸せだと感じていない。
そして国際比較のデータがさらに衝撃的なんですよ。
ギャラップ社の「State of the Global Workplace」によると、日本の従業員エンゲージメント率はわずか6%。世界平均の20%、東アジア平均の17%を大幅に下回って、世界最低水準。しかも「積極的に離反している」社員が24%いて、エンゲージドな社員の4倍もいる。
42%が前日に多大なストレスを経験している。この低迷は2009年以来13年以上続いていて、世界平均との格差はむしろ拡大している。

面白いのは、パーソルの調査では”やる気の低下”は確認されていない点だね。成長実感もワーク・エンゲイジメントも、2017年から統計的有意差なし。つまり、今の仕事に手を抜いてるわけじゃない。”一生これを続けたいか”という長期展望への答えが変わったんだよ。
ここがポイントなんですよね。「辞めたい」は「やる気がない」とイコールじゃない。目の前の仕事はちゃんとやっている。でも、この働き方を60歳、65歳まで続けたいかと聞かれたら、答えはNoになった。それだけの話。
なぜ「辞めたい」が増えたのか
早期リタイア希望の理由で最も多いのは「働くことが好きではないから」で約30%。ただし、この数字は2020年の40%から10ポイント減っている。代わりに増えているのが「リタイア後の生活資金が十分だと思うから」で、約5ポイント増加。
つまり、「イヤだから逃げたい」から「計画的に辞められると思う」へ、理由の質が変わってきている。NISAやiDeCoの普及で18〜29歳の資産運用経験者が11.6%から20.2%に増えたことも、この変化と無関係じゃないだろう。
でもね、ぼくにはもうひとつ仮説がある。
労働者人口が減っているんですよ。人が減れば、1人あたりの負担は増える。「しんどい仕事」が増えたというより、「しんどさの密度」が上がった。同じ8時間でも、こなすべきタスクの量と質が上がっている。
ギャラップのデータが示す、73%の非エンゲージメント、42%のストレス。これが日本の労働環境の現実なんですよね。エンゲージメント率6%の国で働いている人たちの3割が「辞めたい」と言っている。むしろ3割で済んでいることのほうが驚きだとぼくは思う。

でもさ、”働くのが好きじゃない”が理由の1位って、ただのワガママじゃない? みんなイヤでも働いてるんだからさ
「ワガママ」の何が悪い
ぼくもそのワガママを貫いた側の人間なんですよね。
「幸福とは不幸でないこと」という定義がある。FIRE界隈でも共感する人が多い考え方だけど、ぼくもこれに近い。華やかな成功を手に入れることが幸福なんじゃなくて、イヤなことをしない状態こそが幸福。
ぼくのポリシーはシンプルで、「やりたくないことはやらない。やりたいことだけやる」。
会社員時代、このポリシーを完全に実行するのは不可能だった。やりたくない仕事も、出たくない会議も、付き合いたくない人間関係もあった。でもサイドFIREした今、このワガママを本当に貫けている。
結果としてどうなったか。ストレスがまったくない。今の生活が気に入っている。好きな本を読んで、好きな技術を触って、好きなペースで仕事をする。これが「幸福」でなくて何なのか。
大事なのは「やりたいことを見つけよう」じゃないんですよ。そんな前向きな話じゃない。「やりたくないことをやめる」。これだけ。引き算の幸福論。
足し算で幸福を追いかけると、キリがない。もっといい仕事、もっと高い年収、もっと大きな家。でも引き算なら、答えはシンプルに出る。何が自分を不幸にしているか、それをやめる。残ったものが、あなたの幸福。

“やりたくないことをやめる”って、消極的に聞こえるかもしれないけど、実はすごく能動的な選択だよね。自分の時間と人生を、自分の意思で取り戻すこと。それを実行するには、準備と覚悟がいるんだから。
「辞めたい」を「辞められる」に変えるのは計算だけ
3割が「辞めたい」と思っている。でも実際に辞めた人はごくわずか。この溝は何か。
ぼくの答えはシンプルで、「計算したかどうか」だけなんですよね。
自分の月の生活費がいくらか、把握しているか。その生活費をまかなうために、いくらの資産が必要か。今のペースで貯めたら、何歳でその資産に届くか。
この3つの問いに答えられる人は、もう「辞めたい」から「辞められる」に移行し始めている。答えられない人は、ずっと「辞めたいけど辞められない」のまま。
前回の記事で書いた通り、40歳・5000万円・月27万円で95歳まで暮らせるというシミュレーション結果がある。1億円は必要ない。大事なのは、自分の数字を知ること。
ぼくが作ったFIREシミュレーターに、あなたの数字を入れてみてほしい。今の資産、月の生活費、想定リターンを入力すれば、何歳まで資産が持つかがわかる。「なんとなく不安」が「数字で確認済み」に変わる。その瞬間から、人生の見え方が変わるんですよ。

3割がリタイアしたいって言っても、実際にシミュレーション回したやつは1%もいないだろw でもまあ、計算しないで漠然と不安がってるより、計算して”あ、意外といける”って気づくほうが建設的だなw
20代の3割が50歳で辞めたい。この数字は「若者の意欲低下」じゃない。エンゲージメント率6%、ストレス42%、非エンゲージメント73%の国で働いている人たちの、合理的な判断なんですよ。
辞めたいなら、まず計算すればいい。自分の生活費がいくらか、いくら貯めればいつ辞められるか。シミュレーターに数字を入れてみてほしい。
ぼくは計算して、実行して、今ストレスゼロで暮らしている。ワガママを貫いた結果がこれ。
現場からは以上です。


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